出国税が導入されました。
7月1日より、出国税(国外転出課税制度)が施行されました。
出国税は、金融資産を1億円以上保有する居住者が、海外に住所を移す場合、株式や投資信託などの金融商品を売却したものと仮定して15%の国税(所得税)を払わなければならない、と言う制度です。
そして、ここでいう株式には、中小企業のオーナーの同族株式まで含まれるわけですから、ちょっとやっかいです。
どうして、このような制度が導入されるようになったかというと、例えば、香港やシンガポールでは、キャピタルゲイン課税がありません。
ですので、今までは、日本から香港に住所を移し、日本で所有していた株式や投資信託などを売却した場合、課税権は香港にあるので、日本では税金を納める義務がなかったのです。
このようなことを防ぐために導入されたわけです。
金融資産1億円以上と言うと、人口の2%ぐらいですし、その中で海外に住所を移そうという人も、そう多くないので、あまり影響はなさそうに思いますが、落とし穴もあります。
それは、先ほど述べたように、中小企業の同族株式も、この金融資産に該当するので、ちょっとした業績の良い会社のオーナーの場合、住所を移して余生を海外で暮らそうとすると、この規定を適用されてしまうわけです。
個人的には、日本で生まれ、日本で育ち、この国を、どこよりも愛しているので、できる限り日本で税金を納めたいと思っていますが、日本政府が、財政破綻を免れるために、預金封鎖などをして、無理やり徴税権を行使されるようなことは避けたいと思っています。
そんな日が、来ないことを祈るばかりです。
アイネックス税理士法人 代表 川端雅彦
2015/07/08
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