税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

「痛し痒し」なアベノミクス!

アベノミクス効果で、不動産や株式が上昇しています。

加えて、2020年にオリンピック、パラリンピックが東京で開催されることが決まったので、なおさら先高観が強くなって来ています。

これは、富裕層にとっては大変喜ばしいことですが、事業を承継する予定の経営者にとっては、やっかいなことにもなります。

なぜかというと、換金性のない中小企業の株価が、上場株式の株価上昇に引きずられて、押し上げられてしまうからです。


中小企業の株価(相続税評価額)は、基本的には以下の算式で求められます。


   純資産価格×(1−L)+類似業種比準価格× L (Lの割合は会社規模によって変わります。)


このうち上場企業の株価に影響を受けるのが、類似業種比準価格です。

そして、この類似業種比準価格は基本的に以下の算式で求められます。

類似業種の株価×比準割合×斟酌率


算式からお分かりのように、上場企業の株価が高くなると類似業種比準価格が高くなるというわけです。(比準割合については、ややこしいので1.0と仮定します。また他の計算要素についても説明は省略します。)

例えば、建築工事業で、資本金5,000万円(発行済株式数100万株)、総資産8億円、従業員数51人のA社があったとします。

この場合、中小企業の株価算定上、A社は中会社に該当し、Lの割合は0.9、斟酌率は0.6になります。

ところで、平成24年の上場企業の株価からはじき出された、類似業種の株価は113円ですが、平成25年6月時点では187円になっており、なんと1.65倍に上昇しています。

このとき、それぞれの時点でのA社の類似業種比準価格は平成24年時点で113円×0.6=67.8円、平成25年6月時点では187円×0.6=112.2円となります。

このまま、アベノミクスが功を奏し、類似業種の株価が2倍の226円になったとすると、A社の類似業種比準価格は平成24年度の67.8円から、倍の135.6円になります。


単純に言うと、平成24年に比べて、A社の株価は


(135.6−67.8)×0.9(Lの割合)×100万株=6,102万円 


高くなります。

このように、アベノミクス効果による株価上昇に伴い、何もしなくても中小企業の株価がつられて上昇し、課税される相続財産が増加するわけですから、当然相続税も増えることになります。

アベノミクスは、「いとしこいし」・・・もとい!

「痛し痒し」という状況を中小企業に突き付けてくる可能性があります。


バブルの時に起こった相続の悲惨なケースから学び、できる限りの対策を打っておく必要があると思います。

もちろん、アイネックスでは、できる限りの対策案を取り揃えておりますので、お気軽にご相談ください。


アイネックス税理士法人   代表社員  川端 雅彦


京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2013/10/02

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