一流は人を残す
ILO(International Labor
Organization)によると、全世界で見ると、実に7500万人もの若者が失業しているというデータが公表されています。
日本でも、若者の失業率は、中高年のそれに比べて高く、労働組合から支持を受けている民主党の政策が、若者の就業機会を奪っているというのが現実なのではないでしょうか。
そして、そういう若者が増えると、ボディーブローのように日本経済にとってはダメージとなって、現れてくるのではないかと思うのです。
第一に「鉄は熱いうちに打て」と言われるその時期を逸してしまうと、労働力としての伸び白が限定されてしまうからです。
第二に、40歳ぐらいが最も高い消費性向を示すのですが、若いうちに就業できなかった層が40歳になっても、大した可処分所得があるわけでもなく、そもそも消費に回すお金がないわけで、高齢化と相まって、ますます消費減少の社会になると思うからです。
そして第三に、高齢化社会を支える社会保障費を負担する担い手が、不足するわけで、極めて深刻な将来になるような気がするのです。
そんなことをつらつらと考えながら、自分に何ができるのだろうかと思っていたのですが、やっぱりそういう若者をたくさん雇用できるように、会社を成長させることだなあ、と思った次第です。
ということで、この10月に4人採用しました。(といっても辞める人もいるので、4人増というわけではありませんが)
今回は、4人とも中途採用なので、若者でもないのですが、彼らを教育していると、つくづく「事業は人なり」という松下幸之助の言葉を思い出します。
「企業の存続のためにはイノベーションがなくてはならない」とよく言われますが、そのイノベーションも、モノやカネでなく、意思をもっているヒトだけが引き起こすことができるのであり、ヒトの能力を最大限引き出すことこそが、最後に残された開発テーマであると思うからです。
そうしたときに、新人を対象にする教育と言われるものが、果たして今までどおりでいいのだろうかという疑問がわいてきます。
企業における教育の目的は、知識の獲得を目指すものではなく、行動を起こすことを促すことです。
極論すると、その行動とは、売上を最大にし、コストを最小にする活動に結びつけなければ意味がありません。顧客満足度をいかに向上させるのかということですら、その最終成果は、それで測定されると思うのです。
そうすると、今までの研修型の教育でもなく、現場に投入して学べというOJTでもなく、いかに行動する、してもらうのかという経験を積ませるデザインが必要になってくると思います。
そして、その研修成果の測定は、個人のパフォーマンスが、企業の業績向上にどれぐらい貢献したかによるものと言えるのではないでしょうか。
「三流はお金を残す。二流は事業を残す。一流は人を残す。」という、どこかで聞いた格言の真の意味は、環境変化に対応しながら存続する企業というのは、現業に強みがあるのではなく、イノベーションを積み重ねる人にこそ強みがあるのだということを噛みしめながら、若者を育てることに悪戦苦闘をしている今日この頃であります。
2012/10/18
- 経営について