税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

NHK連続テレビ小説「まんぷく」は経営の教科書である。


NHK連続テレビ小説「まんぷく」が面白くってしかたなくて、毎朝見てから、出勤してます。

(もちろん、8時からの地上波ではなく、7時30分からのBSを見てるので、始業時間に遅刻することはありません!)


この物語は、僕が若かりし頃、「すぐおいしい~!すごくおいしい~!」って宣伝でお馴染みだった、チキンラーメンの開発者で日清食品の創業者である安藤百福(本作では立花萬平)の生涯を描いているのですが、その波乱万丈さはもちろんのこと、この物語は、「経営のお手本」であり、「経営の教科書」と言っていいと思います。


成功の原点は「おいしいこと。簡単に調理できる。長い間保存できる。手頃な価格。衛生的で安全」という妥協しない「開発コンセプト」を打ち立て、世の中にない「画期的な商品」を開発したことにあるのは言うまでもありません。


商品化までの紆余曲折を見ると、エジソンの有名な格言「私は失敗したことがない。ただ、1万通りの、うまく行かない方法を見つけただけだ。」を思い出しますが、その執念たるや凄まじいと感じるばかりです。


しかし、商品化からがまた、すごいんです。勉強になります。

商品化に成功すると次は、「パッケージ」と「価格設定」を決めることになります。

パッケージは、立花萬平の女房「福子」の次姉の旦那さんが、画家の腕を買われて創作するわけですが、これが斬新だったわけです。

写真参照:【公式】連続テレビ小説「まんぷく」Twitterより


次いで価格設定です。

萬平さんは「10円」を主張しますが、販売代理をする予定の「世良」って人物と、福子の長姉の旦那に「それでは安すぎる!この商品の価値を良く考えると、20円で行こう!」と説得され、20円(実際は35円)でスタートするわけです。

(当時の物価の参考値としては、大卒者初任給13,467円、国鉄初乗り10円、入浴料16円ですから、少々高かったようです。)


「値決めは経営である」と京セラ名誉会長の稲盛和夫氏は言っておられますが、主婦の調理の手間を省き、美味しいラーメンの価値を訴求した「絶妙な価格設定」だったのだろうと思います。


そして、次に「プロモーションとしてのテレビコマーシャル」に打って出ます。

当時、テレビが大衆に普及する時期と重なって、広く知れ渡り、爆発的に売れるようになります。


写真参照:【公式】連続テレビ小説「まんぷく」Twitterより



その結果、生産が追い付かなくなり「量産化」のための工場を建設することになります。

最初から大きな投資をするのではなく、目途が立ってから踏み切るというお手本のような投資計画です。

これで、品質の安定化とコスト削減を図り、一気呵成にシェアーを取りに行ったわけです。


しかし、ここで終わらないのが、すごいところです。

女房の福子さんが、粗悪である(不衛生、まずい)類似商品を購入する主婦の人に「どうして買うのですか?」と聞くと「安いから」という答えが返ってきます。

福子は、自社のことだけ考えるのではなく、大きな意味で、国民生活を豊かにするためには、こういう粗悪品がでるような業界であってはならないと、萬平さんに直訴します。

その直訴が、萬平さんの「正義感」に火をつけることになります。


萬平さんがしたことは、即席ラーメン協会をつくり、そこに加入してもらった会社には、自社の製造方法(パテント)を「無料で開放する」という非常識というか、耳を疑いたくなるような手に打って出ます。

これによって、業界の健全な発展を実現しようということなんですが「超利他」な人達であったと涙がでそうになります。

「自利とは利他を言う」んですね。

しかし、このことによって、一人勝ちでない健全な競争が生まれ「即席食品市場」も拡大することになります。

まさにWIN-WINですね。


写真参照:【公式】連続テレビ小説「まんぷく」Twitterより



さて、次の回から(3月5日以降)は「新商品の開発」になるわけですが。この続きは、まだ放送されていません。

グローバルブランドに育った「カップヌードル」などの開発秘話が予定されているのだと思いますが、この後も興味津々な僕であります。


最後になりましたが、日清食品の創業者である安藤百福さんは、日本統治時代の台湾出身の方です。その後、日本国籍を取得したわけですが、国籍、出身を問わず「ジャパニーズドリーム」を体現した傑出した経営者であると思います。

シリア出身でありながらアメリカにおいて「アメリカンドリーム」を体現した、スティーブジョブスと同じように。

こういう外国人創業者が、次々と輩出される世の中になれば、日本はもっと陽気な国になるような気がします。


そして、最後の最後。安藤サクラが演じる萬平の女房の「立花福子」さん。この人の内助の功があったからこそ、立花萬平(安藤百福)さんは、信念を貫き通せたのだと思います。


このような相方が、たくさん経営者を支えるようになれば、日本はもっと、世界から尊敬される国になるような気がするということで、確定申告がんばります。


ほな、さいならー!


平成31年3月4日

アイネックス税理士法人
代表社員  川端 雅彦


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2019/03/05

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