まったなしの事業承継支援
中小企業庁の予測によると、今後10年の間に、70歳を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万(日本企業の1/3)が後継者未定であり、現状を放置すると、中小企業廃業の急増により、2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるとされています。
大変なことですね。まさに日本の国力がやせ細っていく未来が、描かれています。
私たち、税理士・会計士業界の顧問先の現場感とも一致しています。
このような状況下、安倍首相は、「全国信用金庫大会」において、以下のように、一歩突っ込んだ発言をされています。
「後継者候補がいたにもかかわらず、事業承継ができなかった理由の6割は、個人保証を求められるからとの調査もあるわけであります。5年前に経営者保証に関するガイドラインが策定されて以降、皆様の御協力もあって個人保証なしの新規融資の割合は徐々に上昇し、また、事業承継時に個人保証を見直す取組も着実に広がっています。この流れを更に加速したいと思います。まず、事業承継に焦点を当てたガイドラインの特則を作ります。先代と後継者双方から保証を取る、いわゆる二重取りを原則禁止します。さらに、後継者の皆さんが融資を受ける際に、個人保証なしで信用保証協会が保証する新たな制度を創設します。専門家の確認を受けた場合は、保証料もゼロにします。こうした政策パッケージ、言わば個人保証脱却政策パッケージを月内に策定する成長戦略に盛り込み、速やかに実行していく考えであります。そのためには、信用金庫の皆さんの協力が欠かせません。皆様と強力なタッグを組んで、共に新時代を切り拓(ひら)いていきたいと願っています。」 (令和元年6月19日 首相官邸 「全国信用金庫大会」より引用) |
なかなか、思い切った政策です。簡単に言うと、事業承継時において、後継者から保証を取るのをやめる。そのためにも信用金庫の方々にも協力をお願いしたい、というものです。
これを受けて、我々の地元である京都信用金庫は、どこよりも先んじて7日、中小企業向けの「事業承継支援融資」を創設すると発表しました。
〔写真:日本経済新聞 2019年8月7日 「経営者保証は不要 京都信金、事業承継支援の融資」より〕
この制度は、経営者の保証を取らず、事業承継にかかる一切の資金(借換資金可)を最長30年で融資するというものです。
地域金融機関として、地域経済のために敢えてリスクを取って踏み込んで融資をするという、なかなか思い切った取り組みです。
そして、その取り組みの中で、地元の税理士法人や公認会計士事務所9社、法律事務所11社とパートナーシップ協定を結び、一体となって事業承継対策を講じていくとのことであります。
当社も、税理士法人5社の代表らを理事メンバーとする「社団法人 日本信託承継ネットワーク」を設立し、京都信用金庫とパートナーシップ協定を結ぶ一員として、参画することになりました。
まったなしの事業承継対策を、京都信用金庫の様々な制度を活用しながら、理事メンバーらと一丸となって、推し進めていく所存です。
今後とも、ご支援ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
令和1年8月9日
アイネックス税理士法人
代表社員 川端 雅彦
2019/08/09
- 経営について