トランプ不況に備えよ!
トランプ大統領は、4月2日最高50%、日本に対しては24%の相互関税を課すと発表しました。そして、9日に発動させましたが、その舌の乾かぬうちに、90日間延期すると発表しました。
国際分業と自由貿易は、それぞれの国が最も優位の商品を輸出し、最も劣位の商品を輸入することにより、各国の経済厚生を最大限高めることができるというリカードの比較生産費説に基づいており、当然のことながらアメリカもその例外ではありません。
したがって、諸外国からの輸入品に大幅な関税をかけるということは、世界経済に大打撃を与えることはもとより、アメリカ自身も関税により物価があがり、金利が下げられないというジレンマを抱えることになります。
その影響として、金融市場がパニックになり株だけでなく安全資産と言われる米国債までもが大幅に下がり、このことが、トランプ大統領とその側近に自制を促すことになり、90日間延長という措置になったのだろうと思います。
つまり、傍若無人なトランプ大統領を戒めるのは、その側近ではなく「マーケット」であったとも言えるわけです。
とは言うものの、トランプ大統領は、振り上げた拳を落としてくることは間違いないことだと思うので、それなりの覚悟、つまり、マーケットが再び荒れながら、景気後退をしていくというシナリオは想定しておく必要があります。
現在、帝国データバンクの調べによると、2025年1月の企業倒産は830件発生し、前年同期(700件)より130件多く、2022年5月から33か月連続で前年同月を上回っており、戦後において最長記録を更新中であります。
金利の上昇も進行しており、景気後退が現実のものになると、この記録はさらに更新される可能性があります。
これに対応するため、従業員一人当たりの生産性向上に関する取り組み、変動費や固定費の削減、さらには、金融機関との関係性を良好に保ち、資金調達の目途をつけておくなどの施策を、早急に取り組む必要があります。
ただし、近江商人に語り継がれているように、売り手だけが儲けるのではなく、買い手も儲かり、地域社会も潤う「三方よし」のビジネスモデルを模索することが重要なのは言うまでもありません。
アメリカと世界の混乱を教訓にするならば、アメリカファーストならぬ、マイカンパニーファーストであっては長期的な繁栄は築けないと思うのです。
令和7年4月15日
アイネックス税理士法人
代表 川端雅彦
2025/04/16