税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

すべての資産を経営に参加させる

 企業経営において、最も大切なことの一つは、本業でいかに利益を稼ぎ出すかであり、それらを反映した損益計算書に記載された収益費用の各勘定科目を精査することが、経営陣の最大の関心事の一つと言えます。

一方で、比較的おざなりにされているのは、バランスシートに記載されている各勘定科目の精査です。つまり、このバランスシートに計上されている各勘定科目が、経営資本として「収益向上」にきちんと寄与しているかということの問いかけがなされていないケースが散見されます。

良く見受けられるのは、必要運転資金以上に積みあがっている現預金であり、これらは、経営に参加していない資本となります。したがって、これらを経営に参加させることにより、どれぐらい経常利益にプラスの影響を与えることができるのかを吟味する必要があります。

 例えば、1億円の現預金があるとします。そして、この会社の必要運転資金が4,000万円であるとすると、残りの6,000万円は必要以上に留保されている資金となります。

仮に、この6,000万円を頭金として、2.4億円の借り入れを行い3億円の収益物件を購入したとすると、改善する収益は以下の通りとなります。

<前提条件>

購入物件3億円(土地2億、建物1億)

収益利回り4.5%

銀行借入2.4億円 調達金利1.0%

償却率 鉄筋コンクリート中古40年、0.025

<改善収支>

 3億円×4.5%-2.4億円×1.0%-1億×0.025(減価償却費)=860万円

この試算では6,000万円の余剰資金に銀行借入でレバレッジをかけて運用することにより860万円もの収益の改善が期待されることになります。

そして、この860万円は営業外収支として計算され、経常利益を押し上げることとなります。

また、事業用土地建物を購入したとすると、地代家賃が減額され、営業利益を押し上げることになります。

さらに、利回りの低い資産を現金化させ、利回りの高い資産に組み替えるということも選択肢の一つです。

加えて、これ以外にも配当性向の高い会社の株の購入により、受取配当金で営業外収益を押し上げるなど様々なやり方が考えられます。

実際、本業以外で経常利益を押し上げる財務戦略をとっている上場企業は多く見受けられます。


もちろん、不測の事態に備えるために、過度にリスクを取った投資は控えるべきですが、バランスシート上の資産を積極的に経営に参加させる機会を探ることは、中小企業においても本業を支える意味においても、大変重要な財務戦略と言えます。


令和7年1月30日

アイネックス税理士法人

代表 川端雅彦

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2025/01/31

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