税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

脱皮を繰り返す企業へと変身する

新年あけましておめでとうございます。今年2025年の幕が切って落とされました。

2025年の最も大きな出来事の一つは、米国においてトランプ大統領が就任するということだと思います。トランプ氏は自らを「タリフマン」と呼び、関税をかけることをちらつかせて、相手国をねじ伏せるという、自由貿易とは程遠い芸の無い政策を武器にアメリカファーストを実現しようとしています。このことは、関税を米国民が負担するという物価高を招き、その結果、金利がなかなか下がらないという状況を作り出すことなど眼中にないようです。

日本においても30年間続いてきたデフレから、インフレ環境へと経済状況が変化し、このことにより、日本経済は「金利のある世界」へと突入しつつあります。

同時に、このインフレは、とりわけ人手不足と相まって賃金の上昇を促しています。大企業では、大卒初任給を30万円以上に改定、定期昇給も5%を超える額を提示するところもでてきており(図表参照)、その余波は必ず中小企業にも及んできます。

ただでさえ、人材確保が困難な中小企業は、ますます苦戦を強いられることになります。

これらを克服するめには、

  • 1、それらの人材の成長を促し、一人当たりの生産性を上げる
  • 2、あがった生産性を原資として、賃金を引き上げ、今いる人材の定着率を上げる
  • 3、さらには、新規採用の賃金を引き上げ人材を確保する。

という施策が必要となるでしょう。

もちろん、人材を確保し定着率を上げるのは、賃金がすべてではなく「賃金はほかに比べ見劣りするが、この会社の雰囲気が気に入っているのでこのまま継続して働きたい」という企業文化を醸成することが何より重要となります。

おそらく、こういう企業文化を持った会社の従業員のモチベーションは高く、それが生産性の向上に寄与し、収益性が高くなるという結果となっていると思われます。

また、長年デフレ下にあった企業マインドを変える必要もあります。つまり、企業が設定する「価格」を引き上げることに対して、もっと真剣に取り組むことが必要になります。これは、経営者だけの問題ではなく、顧客接点を持つ全社員に「値決めは経営」であり、企業財務における最も収益向上に寄与するレバーは価格であるという認識を浸透させ、行動することであります。

そのためには、地道に価格を改定していくのだ。あるいは価格を改定するために、どのような機能を付加すればいいのかを対話を通じて共通認識を持つことが大切です。

今年は巳年(へびどし)です。蛇は脱皮を繰り返しながら成長していく動物であり、脱皮できない蛇は死ぬと言われています。

我々中小企業も脱皮できないと淘汰される運命にあります。これは、組織を構成するすべての従業員に当てはまることであり、成長を促し「脱皮」することを経営者自身と、従業員の方々に強く求めることが、今の企業経営を取り巻く環境を乗り越えるセンターピンであると思います。

「自分たちの日々の仕事が大きな変革を引き起こす」そして、「たゆまぬ学習」により技術面で優位に立つ、もっと成長できると自分の可能性を信じ、学習に励むという好循環を作り出す今年でありたいと思っています。

昨年に引き続き、今年も倍旧のご支援ご鞭撻をお願いいたします。


令和7年1月

アイネックス税理士法人 代表 川端雅彦

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2025/01/14

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