逆算して今年を考える
2024年の幕が切って落とされました。
今年の1月1日に石川県沖で大地震が発生し、甚大なる被害が発生しました。今も尚、行方不明者が多数存在しており、できるだけ早い存否の確認と復興へ向けた具体的な対応を期待したいと思います。
また、翌日の2日には海上保安庁とJALの航空機が接触し、海上保安庁の隊員5名がお亡くなりになる大事故が発生しました。今から救命作業に当たる使命を負って飛び立とうとする矢先だっただけに、さぞ無念であっただろうと思います。
幸いJALの添乗員の冷静な乗客の誘導により、奇跡的に乗客367人全員が無事に脱出できたことは評価に値すると思います。
しかしながら、かつて、2機のジャンボ機が滑走路で衝突し、583人が犠牲となったデネリフェの悲劇を教訓にしていたはずの航空業界が、なぜこのような事故に至ったのかの原因は徹底的に解明される(個人の責任を追及するということではなく)必要があると思います。そして、後世に新たな教訓として引き継ぐことが何より大切であると感じた次第です。
改めて、震災で犠牲になられた方々と、5名の隊員のご冥福をお祈りいたします。
少々暗い話題から、話は変わりますが、昨年末にWBCにおいて侍ジャパンを優勝に導いた栗山監督の特集が経営においても大変参考になるのでご紹介したいと思います。
その回顧録のなかで栗山監督が、まず初めに行ったことは「ベースボール発祥の地であるアメリカで、アメリカと決勝戦を戦い勝利する。」という目標を設定することだったそうです。
そして、そこから「逆算して」優勝するための道筋を具体化するということを実践したということを語っておられました。
「逆算する」という発想は、いわゆる「バックキャスティング」に近いものだと思いますが、それに対して、現在の課題や環境から将来に変化を予測して対応策を考える「フォワードキャスティング」という手法も存在します。
この「フォワードキャスティング」という方法は、SWOT分析に象徴されるように、外部環境の変化に対して、自社がその強みを活かして、どのように適合していくのかということが思考の基本動作となります。
しかし、この方法ですと、環境変化や、技術革新に影響され、その目的・目標の設定そのものが外部環境に影響されるということがしばしば起こります。
一方、「バックキャスティング」の場合「実現したい未来」が初めにありきなので、そのために、どのように技術や周りの環境を「創造」していくのかという姿勢が必要とされます。
つまり過去と現在の延長線上にある未来を予測する「フォワードキャスティング」という思考方法と異なり「バックキャスティング」は、現状にとらわれない発想が要求される創造性豊かな思考方法と言えます。
現パナソニックの創業者である松下幸之助さんが「とらわれない心」が経営において大切であるという名言を残しておられます。
それに加えて、未来は予測することでなく、創り出すものであるという発想と気概を持って取り組む年にしたいと思います。
今年もよろしくお願いいたします。
令和6年1月吉日
アイネックス税理士法人
代表 川端雅彦
2024/01/11
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