「生産性向上元年」
2023年の幕が切って落とされました。
そのような中、経済三団体の5日に開かれた新年祝賀会で、多くの経営者が基本給を引き上げることに強い意欲を示しました。(下記参照)
これは、岸田首相の「インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたい。」という要請に応じたものです。
22年11月の生鮮食料品を除く消費者物価指数は、前年同期比で3.7%上昇という40年ぶりの高い伸び率を示しており、消費が落ち込めば、景気回復に水を差すことを考慮すると、大変評価できることだと思います。
一方で、労働者の7割を占める中小企業にとっては、大企業との賃金格差がますます開くようになり、うまく対応できなければ、優秀な人材が流出してしまうなどの悪影響が懸念されます。
つまり、賃上げの原資をいかに作り出すかということですが、賃金以外の固定費の削減には限界があります。
したがって、付加価値額の向上(限界利益の向上)に取り組む以外の方法は思い当たりません。
そして、この付加価値額の向上のためには、生産性を向上させることが鍵となります。
また、生産性を向上させる主体は、そこで働く従業員であるわけですから、突き詰めていくと、従業員の成長を促すということが「解」となると思います。
成長とは、今までできなかったことができるようになり、もう一歩進むと、できるまでの時間が短縮されることです。さらに突き進めると、例えば、一時間で稼ぎ出す付加価値(あるいは、つくりだす成果)を増大させることです。
そして、これらは、製造の現場だけでなく、営業、人事、開発など、すべての部署に要求されることなのです。
ところが、残念なことに、中小企業においては、そういった「生産性」の概念は、製造部門においては、比較的意識されるのですが、その他の部門では、非常に希薄であると思われます。
何も決めることができない会議をだらだらと開いていたり、自分の仕事を要素分解できないがゆえに、部下に仕事を伝達できず、いつまでたっても、自分でやらざるを得ない状況などが、そこかしこで見受けられます。
そのようなことが、社員の成長を促さない結果となり、生産性が向上しない原因となります。
しかしながら、生産性が向上しない最も大きな原因は、経営者自身の目線が低いことにあるのではないかと思います。
経営者が、目線を高く持ち、ストレッチした付加価値目標を掲げ、従業員を鼓舞し、衆知を集め、様々なメソッドを組織に植え付けて、生産性を向上させ、大企業に負けないベースアップを実現するのだという気迫を持つことが初めの第一歩だと思います。
「人間は自分が思い描いた以上の自分にならない。」のと同じように「企業は、経営者が思い描いた以上の企業にならない。」という思いを胸に抱きながら、2023年を「生産性向上元年」としたいと思います。
今年も、どうぞよろしくお願い致します。
令和5年1月6日
アイネックス税理士法人
代表 川端雅彦
2023/01/10
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