税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

待ったなしの生産性改善!

日本企業の生産性は、先進国中最下位と言われています。とりわけ中小企業の生産性が低く大企業に比べ、2倍以上の開きがあります。(下図参照)

つまり、日本企業の生産性が低いのは、中小企業の生産性が低いからということになります。

企業規模別従業員一人当たり付加価値額(労働生産性)の推移


したがって、生産性を上げることは非常に重要なことになるのですが、生産性を測る「付加価値額」をどのようにして計算すればいいのかわからない状態では、生産性の目標として掲げることができないだけでなく、実績との比較すらできなくなってしまいます。

付加価値額の計算は大きく分けて、以下の2通りあります。

・日銀方式:経常利益+人件費+賃借料+減価償却費+金融費用+租税公課

                  • ・中小企業庁方式:売上高-外部購入価値(材料費、買入部品費、外注加工費など)


                日銀方式ですと一々計算するのが面倒ですので、中小企業庁方式を採用するのが、目標、実績とも把握しやすいと思います。

この中小企業庁方式による付加価値額とは、売上から変動費を引いた「限界利益」に近いことがわかります。(付加価値額≒限界利益)

そして、この限界利益は、一般の損益計算書を並び変えた「変動損益計算書」として簡単に表示することができます。弥生会計やマネーフォワード、TKCのシステムなども変動損益計算書表示ができるので、これらを活用すればいいと思います。

さて、上記の表の大企業一人当たりの付加価値額≒限界利益は、およそ1320万円となっています。

一方、中小企業の一人当たり付加価値は、550万円程度であり、大きく差が出ています。

私どもの経験値でいうと、一人当たり年間1000万円以上の付加価値≒限界利益を稼ぎ出している企業の経常利益率は10%を超えるケースが多く、高収益体質となっています。

同時に、年間1000万円以上を稼ぎだす企業の平均賃金は高く、優秀な人材を引き付けることができています。

これは、あたりまえな事ですが、付加価値額に労働分配率を乗じたものが、平均賃金となるわけですから、同じ分配率であれば、当然付加価値額が高い企業の方が、高い給与を支払えるわけです。

(例)労働分配率を50%として計算

 大企業    1320万円×50%=660万円

 中小企業    550万円×50%=275万円

つまり中小企業が、大企業に対抗して優秀な人材を採用しようとすると、労働分配率を上げるほかなく、このことが収益を圧迫することとなります。

したがって、この一人当たり付加価値≒限界利益を上げること、つまり生産性を上げることが、何より優先されるわけです。

さて、この労働生産性は以下の数式で計算されます。

労働生産性=付加価値額(≒限界利益)÷労働者数

先ほど、この労働生産性が1000万円を超える企業は高収益であるというお話をしました。つまり、一人当たり1か月約85万円以上の限界利益を稼ぎ出すというのが、高収益企業の目安となり、この数字を一つの目標として掲げることが重要となります。

では、これらを実現するためには、何をすればいいかということになりますが、労働者数を減らすということは簡単にできないので、労働者一人当たりの付加価値額≒限界利益を増加させるということが必要になります。

これらは、簡単にできることではありませんが、目標として一人当たり限界利益を1000万円と設定し、毎月変動損益計算書をベースとして、定点で観測するということを仕組みとして作り上げることが初めの第一歩となります。

次に、これらを「見える化」することにより、全従業員に「生産性」という概念を徹底して浸透させることが、次のステップとなります。

例えば、営業現場においては「営業の生産性」を意識させることが必要です。同じ売上を上げるにあたって、3回訪問していたものが2回でクロージングできるようになれば、生産性は33%改善されることになります。

そのためには、アポイントから見積、クロージングまでのプロセスを、分業、電子化することなどにより、可能となります。

さらに、優秀な営業マンのノウハウを共有し、競合との勝率を上げる方法を検討することも重要となるでしょう。

製造現場においても、歩留まりや、在庫の廃棄のデータを可視化することはもちろんのこと、多能工化することにより、最小限の人数で最大限の生産量を算出できる創意工夫などを検討することになります。

総務や経理の現場においても、IT化や、RPAなどを駆使することにより生産性を上げる工夫をしてもらうことになります。3人で回していた総務経理が2人でできるようになれば、浮いた1人を、営業事務に回すことにより、営業生産性を引き上げることも可能となります。

そして、これらの活動の最終成果は、一人当たり付加価値≒限界利益として可視化されることになるわけですから、この数字を毎月把握することは、生産性向上の必要条件となるわけです。

また、このような活動を通じて一人当たり付加価値額を向上させることは、平均賃金を引き上げることにつながることを理解してもらい、自らの待遇を改善するのは、自らの生産性を上げることからスタートするのだという意識を醸成することが大切です。

生産性の意識を浸透させ、付加価値を向上させることは、平均賃金の上昇に結び付き、優秀な人材を採用できる余地を拡大させ、さらなる成長の原動力を作り出すことができるのだという意識改革と実践は待ったなしの状況にあります。


令和4年8月1日

アイネックス税理士法人

代表 川端雅彦



京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2022/08/02

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