教育は最も割に合う投資である
「アルベルト・アインシュタイン」・「スティーブン・スピルバーグ」・フェイスブック(現メタ)の「マーク・ザッカーバーグ」・グーグルの「ラリー・ペイジ」・スターバックスの「ハワードシュルツ」
これら世界的に有名な人たちに共通する属性は何だと思われるでしょうか?
答えは、全員「ユダヤ人」であるということです。
ユダヤ人がいかに優れた人材を輩出しているかというと、ノーベル賞の受賞者の22%、アメリカの大富豪の35%を占めています。しかも、ユダヤ人は世界の人口のわずか0.2%にしかすぎません。
これらユダヤ人が、ずば抜けた秀才を輩出し続けている理由は何なのでしょうか?
ユダヤ人の格言に「目に見える財産はいとも簡単に奪われる。ただ私たちの頭の中にある知恵だけは、何人たりとも奪うことはできないであろう。」というものがあります。
つまりユダヤ人は、知恵を身につけるための「教育」が、生き残るために最も大切なこととして言い伝え、実践し、その成果を出してきたわけです。
そのようなことを考えている折に、「揺らぐ人材立国」という日経新聞の記事を目にしました。
教育で人を育て、国を立てる。その人材立国モデルが揺らいでいるという連載記事です。
教育には、大きく分けて、学校教育と、卒業後の企業における教育の二本柱があります。
学校教育においては、日本における教育支出の現状はOECD38か国中37位となっています。
それに輪をかけて「留年はかわいそう」という配慮から、「高校生の7割、中学生の5割、小学生の3割が授業についていけない」という基礎学力未成熟な人材を、世に送り出しているという現状が紹介されています。
そして、もう一つの教育の現場である企業ですが、労働政策研究・研修機構が16年に実施した調査によると、従業員の自律的キャリア形成の推進に注力している企業は27.7%、今後注力する企業が23.5%で、残りの48.8%は注力しないとしています。
つまり、官民ともに、教育に対する意欲が極めて低いことが読み取れ、このままでは、日本は、立ちいかなくなるのではないかと危惧してしまいます。
ここで、我々経営者が考えなければいけないことは、義務教育+高校・大学の16年と、そこから働き始めて定年の65歳までの43年間を比較すると、企業における43年間がいかに長い期間であるかということです。
したがって、その43年間に同じ企業で働き続けることは無いとしても、働いてもらっている間において、その社員の労働力としての価値を高める教育に最大限の投資をするという使命があるのではないかと思うのです。
松下幸之助は「事業は人なり」という企業経営の本質をついた格言を残しています。
とりわけ中小企業は、そういった事業を支えてくれる優秀な「人材を採用する力」が、大企業に比べて乏しいわけですから、「教育によって育成」するということが絶対に必要なわけです。
そして、その際に大切なことは、従業員に対し、自己に対する教育投資が最も割に合う投資であると理解せしめることだと思います。
自分自身が自律的に、自己の能力開発を行うことで新たなスキルを身につけることができれば、それに見合う待遇の改善を期待できます。
つまり、自己の能力開発により、稼ぎ出す力を向上させ、将来の自己のキャッシュフローを増やすことができるのだということによる動機づけを行うことが大切であると言えます。
加えて、そういった教育投資に対する支援を、積極的に企業が行うことです。いわゆるリスキリングと言われる取り組みであるわけです。
新たなスキルを獲得した社員の生産性は、必ず向上します。生産性の向上は、企業の収益向上に結び付くことになるわけですから、社員と企業がWIN・WINの関係になるわけです。
したがって、優秀な人材を育て上げた結果、他社に引き抜かれてしまうことを恐れるよりも、この会社に勤めることで優れた能力を獲得できるという企業を作ることで、さらに優秀な人材を引き寄せる魅力的な企業を創ること。
この方が、よほど生産的で世の中に貢献できることだという自覚をもつことが大切なのではないかと思います。
教育は、何よりも優先される大切な投資であるという認識と行動が、強い経営体質を作る原動力になると思います。
令和4年5月吉日
アイネックス税理士法人
代表 川端雅彦
2022/05/06
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