税理士川端雅彦コラム

KAWABATA MASAHIKO COLUMN

日本代表ベスト16の秘密−イン・ザ・ゾーン−

 先日、岡田前監督の講演を聴く機会がありました。講演の内容は、ワールドカップで、大方の予測に反して、ベスト16という偉業を如何にして達成したかというものでした。

冒頭、岡田監督は「日本チームの選手の力を1+1+1+...=11と積み上げても、南米やヨーロッパのチームには、絶対に勝てない。だから、1+1=3という状態になるようにしないとだめだ。」とし、
 
そのためには「非常に集中して、遺伝子にスイッチが入った忘我の状態にならないといけない。」ということでした。

スポーツに限ったことではありませんが、何かが切っ掛けで、遺伝子にスイッチがポンと入って非常に集中した忘我の状態になることがあります。

これを『イン・ザ・ゾーン』というのだそうです。

私もサッカー選手の端くれですのが、考えるという感覚が全くなく、無意識のうちに体が信じられない反応をしているという瞬間を、下手くそながら経験したことがあります。


このような『イン・ザ・ゾーン』という状態を選手たちが、試合中に持つことができれば南米やヨーロッパの選手たちと互角に渡り合うことができるということでした。

ところが、こういう状態は、入ろうと思えば思うほど入れないのです。そのような状態を再現しようと力めば力むほど入れないのです。

しかし、入り易い状態をつくることはできるのだそうです。

では、入り易い状態をいかに作り出すか?

 それは、「志の高い目標」だったそうです。そして、その志の高い目標が、誰もが出来っこないと思った「W杯でベスト4に入る」であったわけです。

また、それだけでなく、その事を「本気」で成し遂げるのだと、日ごろから繰り返し選手に伝え、本気で実現してやる!という選手だけを、日本代表に選んだそうです。

というか、本気で思わない選手は、メンバーから外すぞ!という「緊張感」を常に持たせたそうです。だから、情に邪魔されず、躊躇なく外すことができるように、選手とは酒も一緒に飲まなかったそうです。

このようにして、代表選手たちは、絶対にベスト4に入ってやるという一種の興奮状態で、常に試合に臨んでいたのではないかと思われます。

優れた目標は、それ自体でモチベーションを上げると言います。

優勝でもなく、予選通過でもない「ベスト4」という、思いっきりストレッチすれば、届くかも知れないという「志の高い目標」を掲げること。そして、そのことに本気で邁進させたという岡田前監督の采配は、偶然でない必然の結果をもたらしたと思ったと同時に、経営にも相通じるところがあると、何故だか目頭を熱くしながら聞き入ってしまいました。

今月、本田選手に会うので、そのあたりも聞いてみたいと思います。

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2010/12/02

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