『RPAの威力 ~ロボットと共に生きる働き方改革~』
近頃、「RPA」という言葉を耳にする機会が増えていると思います。
RPAとは、Robotic Process Automationの略称で、ホワイトカラーの間接業務を効率化・自動化するテクノロジーです。
本日は、RPAを実際に導入された企業の実例が収録されている、『RPAの威力 ~ロボットと共に生きる働き方改革~』という本をご紹介したいと思います。
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【著者】安部 慶喜 金弘 潤一郎 【発行】日経BP社 【第1版第1刷】2017年11月20日 【第1版第9刷】2018年11月1日 |
RPAを導入することで、人間は単純作業から解放され、時間的にも精神的にも余裕が生まれます。
新たに生まれた余裕を、価値創造の時間として費やせるようになります。
ニュースなどで“ロボットに仕事を奪われる”と言われていることもありますが、そうではありません。
単純作業ではなく、“より革新的な、イノベーションな仕事に力を注げる”ようになるのです。
では、RPAとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
RPAの仕組みは、「パソコン上で人間が行っている様々な操作をロボットが記憶し、人間に代わって自動で実行する」(p.17より引用)と説明されています。
単なるシステムの一種であると思われがちですが、実際には部下のように仕事を教えていくことができます。
このことからRPAは、デジタルレイバー(Digital Labor)、つまり仮想知的労働者とも呼ばれています。
人間とは違い、24時間働き続けることができ、指定通りの作業をミスなくこなします。
では、AI(Artificial Intelligence:人工知能)とは何が違うのか。
AIは、自己学習機能があるため、システム自体がルールを発見・定義して自動化を行います。
人間では代わりができないことに価値がありますが、導入に多額のコストがかかります。
その点、RPAの導入は比較的安価で可能なため、単純作業や小粒業務を行う場合は、RPAの方が投資対効果が高くなります。
RPAは、2014年頃から導入され始め、2017年から2021年の5年間は年平均成長率64%で急速に市場規模が拡大されると予測されています。
また、実際にRPAを導入した企業の半数以上が、1か月ほどで導入作業を完了しています。
まずは取り入れてみることこそが導入成功のカギであると本書には書かれていました。
しかしながら、導入における注意事項として、従来からある計画を重視し、PDCAサイクルを回す“ウォーターフォール型”のシステムとは異なり、RPAは変化への対応を重視する“アジャイル型”といわれるシステムで、実行→修正の繰り返しが必要となります。
そのため、以下の点が重要ポイントです。
①ビジネスのサイクルが早い現代に対応すべく、考えるより触ることが大切です。
②業務部門とIT部門が協力し、PoC(Proof of Concept: 概念実証)を行う必要があります。
③運用ルール・体制をしっかりと考えなければいけません。
④現場の業務部門が自らの業務を考え、効率化していかなければいけません。
RPAの導入効果がでる・でないは、業種や業務内容によって異なってしまいます。
効果がでる場合、単純作業の工数が減ることで、人間が創造的な仕事に時間を費やすことができうようになり、ひいては人類の進化に繋がります。
デジタルレイバーの社員番号をつける企業もあります。
私たちの税理士業界も、AIやRPAの進化により無くなる業種と巷では言われています。
しかし、無くなるのではなく、今よりもイノベーションな業務に時間を費やし、お客様にとってより良い提案が行えるよう、進化し続けるべきなのです。
アイネックス税理士法人でもRPAの導入を検討しております。
その成果が出たら、また実例としてご紹介したいと思います。
アイネックス税理士法人
塩田 久美子
2019/06/27
- 読書発表・本紹介