『FACTFULNESS ファクトフルネス』
世界を正しく見ることが出来ていますか。
『FACTFULNESS ファクトフルネス 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』
この本を読むと、多くの方が驚き、自分のものさしが間違っていることに気付かされるでしょう。
現に、この本に書かれているクイズを当社の社員全員にだしたところ、8割ほどの人が間違えました。
チンパンジーの群れに出題しても33%が正解するというのに…
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[著者]ハンス・ロスリング オーラ・ロスリング アンナ・ロスリング・ロンランド [訳者]上杉 周作 関 美和 [発行]日経BP社 [第1版第1刷]2019年1月15日 [第1版第9刷]2019年3月27日 |
例えば、
①「世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?」
A:50歳 B:60歳 C:70歳
②「世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?」
A:20% B:50% C:80%
このようなクイズを、世界14か国、延べ1万2,000人に対して実施したところ、
①の日本の正答率は28%で14か国中13位(1位は韓国の49%)、
②の日本の正答率は6%で14か国中12位(1位はスウェーデンの21%)でした。
では、どうすれば正しい世界を見ることが出来るのか。
それは、本書のタイトルである「FACTFULNESS ファクトフルネス」を行うことで出来るようになるのです。
ファクトフルネスには、以下の10の大まかなルールがあります。
1.分断本能を抑えるには…
→大半の人がどこにいるかを探そう
2.ネガティブ本能を抑えるには…
→悪いニュースのほうが広まりやすいと覚えておこう
3.直線本能を抑えるには…
→直線もいつかは曲がることを知ろう
4.恐怖本能を抑えるには…
→リスクを計算しよう
5.過大視本能を抑えるには…
→数字を比較しよう
6.パターン化本能を抑えるには…
→分類を疑おう
7.宿命本能を抑えるには
→ゆっくりとした変化でも変化していることを心に留めよう
8.単純化本能を抑えるには…
→ひとつの知識がすべてに応用できないことを覚えておこう
9.犯人捜し本能を抑えるには…
→誰かを責めても問題は解決しないと肝に銘じよう
10.焦り本能を抑えるには…
→小さな一歩を重ねよう
このうち、私が印象に残ったものは、「5.過大視本能を抑えるには…」に記述されていた、「比較」と「割り算」という視点を持つべきというものです。
「比較」
2016年に0歳で亡くなった子の人数は420万人でした。
とても多い人数にように思え、悲しくなります。
でも、前年の2015年は?
440万人でした。2016年は前年比マイナス20万人なのです。
さらに、1950年は?
1,440万人でした。2016年は1950年と比較するとマイナス1,020万人なのです。
では、この数値を出生人数で割ってみるとどうなるのか。
「割り算」
1950年に生まれた赤ちゃんの数は9,700万人。
そのうち1,440万人の子が1歳の誕生日を迎えることなく亡くなってしまったので、死亡率は約14.8%です。
2016年に生まれた赤ちゃんの数は1億4,100万人。
そのうち420万人の子が1歳の誕生日を迎えることなく亡くなってしまったので、死亡率は約2.9%です。
勿論、亡くなる子がもっと少なくなり、割合も0%に近づくことを願っていますが、
量だけでなく、率までみてみると、随分と印象が変わったのではないでしょうか。
今回ご紹介した考え方は、一つのエッセンスではありますが、我々が普段取り扱っている財務会計にも通じます。
ひとつのものさしだけで熟慮する際に、他のものさしで比較・割り算をしてみないと、目の前にある数字・事柄が全てではないということを改めて思わされました。
少し分厚めの本ですが(どの本と比較して?となってしまいますね)、一度手に取って、イントロダクションにあるクイズだけでも挑戦してみてください。
きっと続きが読みたくなると思います。
アイネックス税理士法人
税理士 新井 皓亮
2019/05/30
- 読書発表・本紹介