顧客資本主義(丸本)
「顧客資本主義」 Harvard Business Review(HBR)7月号のタイトルです。
株主価値の最大化こそが企業の目的とする米国において、HBRが「顧客資本主義」をテーマにしていることが面白かったのでちょっとご紹介します。
1970年代に企業の目的は株主価値の最大化とする「株主資本主義」が台頭し、現代経営の絶対的真理として信じられてきた。しかし、ここ数年「株主資本主義」の弊害が顕在化している。言うまでもなく、リーマンショックを代表とする過剰なまでの株主価値への偏重である。
そこで、著者は「顧客資本主義」こそが企業の存続意義と唱えている。
その根拠として「株主資本主義」のシンボル的存在である、ゼネラル・エレクトリック(GE)と、顧客第一主義を経営理念にかかげるジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)を比較して両者の優劣を論じている。
GEのジャック・ウェルチがCEOに就任していた期間の連結利益成長率(※)は12.3%、一方でJ&Jは14.5%とJ&Jのほうが企業価値を高めている。さらに、TSR(総株主投資利回り)は12.3%であったのに対し、S&P500(米国の代表的な株価指数)におけるTSRは10.0%と、結果として大きな差はなかったとされている。
つまり、「株主重視」を標榜していても他の企業を凌駕するほどの結果を残しているわけでなく、長期的な視点では「顧客重視」を経営理念に掲げるほうが企業の成長につなるとしている。
HBRの記事としての論文なのでやや平易な内容ではあるが、P.F.ドラッガーも「企業の目的は顧客創造」と言っている。経営思想の主流が「株主」から「顧客」にすぐに変わるとは思わないが、その可能性は十分に感じられる。 株主重視の経営に引っ張られるように、会計制度もおおきく変更してきた(時価会計、現存会計etc.)。「顧客資本主義」が主流になると会計もまた変化するのか?と思う次第です。
※計算の数式は不明
株主価値の最大化こそが企業の目的とする米国において、HBRが「顧客資本主義」をテーマにしていることが面白かったのでちょっとご紹介します。
1970年代に企業の目的は株主価値の最大化とする「株主資本主義」が台頭し、現代経営の絶対的真理として信じられてきた。しかし、ここ数年「株主資本主義」の弊害が顕在化している。言うまでもなく、リーマンショックを代表とする過剰なまでの株主価値への偏重である。
そこで、著者は「顧客資本主義」こそが企業の存続意義と唱えている。
その根拠として「株主資本主義」のシンボル的存在である、ゼネラル・エレクトリック(GE)と、顧客第一主義を経営理念にかかげるジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)を比較して両者の優劣を論じている。
GEのジャック・ウェルチがCEOに就任していた期間の連結利益成長率(※)は12.3%、一方でJ&Jは14.5%とJ&Jのほうが企業価値を高めている。さらに、TSR(総株主投資利回り)は12.3%であったのに対し、S&P500(米国の代表的な株価指数)におけるTSRは10.0%と、結果として大きな差はなかったとされている。
つまり、「株主重視」を標榜していても他の企業を凌駕するほどの結果を残しているわけでなく、長期的な視点では「顧客重視」を経営理念に掲げるほうが企業の成長につなるとしている。
HBRの記事としての論文なのでやや平易な内容ではあるが、P.F.ドラッガーも「企業の目的は顧客創造」と言っている。経営思想の主流が「株主」から「顧客」にすぐに変わるとは思わないが、その可能性は十分に感じられる。 株主重視の経営に引っ張られるように、会計制度もおおきく変更してきた(時価会計、現存会計etc.)。「顧客資本主義」が主流になると会計もまた変化するのか?と思う次第です。
※計算の数式は不明
2010/07/29
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