パワーハラスメントは企業を弱くする(吉見)
近年耳にする機会が増えた「パワーハラスメント」(パワハラ)が企業に与える影響についていくつか考えてみたいと思います。
都道府県の労働局等に設置されている総合労働相談センターへ寄せられた「いじめ・嫌がらせ」に関する相談件数は、平成25年度で6万件弱あり、10年間で約5倍に増加しています。
パワハラは、行った行為者は当然ですが、経営者の責任問題も問われます。「環境配慮義務」(従業員が安全・快適に働けるように職場環境を整備する義務)があるため、被害を訴えた従業員に対して、改善するための対応をしていなければ、責任を追及されるのです。民事訴訟で損害賠償請求されるケースも今後も増加することが予想されます。
また訴訟リスクだけでなく、職場環境の悪い会社は、仕事の出来る従業員が流出しやすい傾向にあります。人材不足で悩まれている経営者が多い中、良い人材の流出によるリスクは会社を弱くしかねません。
解決するために厚生労働省も指針を出していますが、何よりも重要な第一歩は、
組織のトップが「パワハラは悪で、職場からなくすべきだ」と明確に示すこと
です。経営者の方は、パワハラに真っ向から向き合うことで逆に労使関係がギクシャクすると避けられるケースが多いですが、従業員により安心して長く働いてもらうためにも、検討される経営者の方が増えれば良いなと思います。
2014/12/18