なぜ人と組織は変われないのか (北川)
変わりたいけれど...変われない。
会社をよくしたいけれど...変われない。
これは多くの方が実感されているのではないかと思います。
そんな人間の行動心理を明らかにしたく、分厚く難しい本書を読むことにしました。
本書では、心理学に基づく発達や学習の研究から、変われないメカニズムを理論的に明らかにし、
実践方法や事例が紹介されています。
(1)人が変われない理由
aまず、本書では、会社が変革するには経営陣や従業員といった『人』が変わる必要がある。
『人』が変われば、会社が変革する! と書かれています。
ただ、『人』は簡単には変われない...なぜでしょうか?
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本書では、『人』が変われない理由には3つの要因があると言っています。
1なにが変革を妨げているのかが十分に理解されていないこと
(意志が弱いからではなく、「変化⇔防御」という拮抗状態を解消できないのが原因)
2どうせ人は大して変われないという思い込みを持っていること
3大人の学習に関する深い理解が欠如していること
(人間の知性の発達は思春期で終わるとは限らない)
(2)変われない理由を突き止める
次に、1の『変革を妨げている原因』を突き止める方法が紹介されています。
本書で紹介されている方法「免疫マップ」とは、「変わりたくても変われない」という心理的なジレンマの深層を掘り起し、変化に対して自分を守ろうとしている『免疫』をマップにして明らかにする方法です。
本書における『免疫』とは、人間の不安管理システム(自己防衛)のことであり、私たちを不安や恐れ、苦痛、ストレス、苦い思い出、不快感などから遠ざけているものをいいます。
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免疫を明らかにするアプローチには4つの段階がある。
1改善したい目標を一つ設定する。
(改善目標は自分・周りの誰かにとって重要であり、自分自身の努力が必要だと認識できていることを書く)
2次に改善目標を妨げている行動(阻害行動)をリストアップする。
3そして、この阻害行動の背後にある 「裏の目標」 を探る。
(「裏の目標」 は阻害行動を取ることで達成される目標のこと。)
4最後に 「裏の目標」 の背後にある 「強力な固定観念」 の存在を浮かび上がらせる
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(3)事例 〜部下に仕事を任せられないマネージャーのデーヴィッドの場合〜
デーヴィッドは『1 改善目標』を達成したいのだけれども、気付いたら『2 阻害行動』を取ってしまう。
なぜ、そういった阻害行動を取ってしまうかというと『3 裏の目標』『4 強力な固定概念』があるからです。
本書では、この『3 裏の目標』『4 強力な固定概念』を明らかにせずして、技術的な方法で解決しようとするから、いつまでたっても変革できないと言っています。
デーヴィッドの場合、免疫マップを作成した結果、??により変革に成功したことが紹介されています。
1自分の変革をはばむ免疫を理解できたこと
2自分のどういう部分を変えたいのかを周囲の人たちに公言したこと
解決策は人それぞれ違うと書いてありますが、まずは、変われない本当の理由を可視化することで変革の道筋が見えてくるということでした。
一度、皆様も『変わりたくても変われないこと』があれば、マップを作成して変革にトライしてみてはいかがでしょうか?
2014/10/09
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