[書評]億の富の作り方 (石野)
久しぶりに書評をアップです。「億の富の作り方」あやしい感じが漂いますね〜。(笑)
期待を裏切るようで申し訳ないんですが、内容は金融のしくみや流れ、国家の財政破綻危機の影響など、しごく普通なんですが、「なるほど!」と思えるものでした。今回は、導入部分をご紹介します。
第1章 日本国家は、なぜに借金大国なのか
最近になって、歳出を削減しても国庫は黒字にならないと言われ始めていますが、基本はこの考え方です。
『歳出の無駄遣いが多すぎたのではなく、収入(税金)が少なすぎた』
『国民の巨大な個人金融資産は、少なすぎる税制により形成された幻の資産である』
税金が少なすぎた根拠としては、世界的にみても低い消費税率と、国民の約60%が所得税を払っていないことをあげています。
特に、消費税については、1%上げると2兆円といわれており、仮に昔(どのくらいかは書かれていません。)から15〜20%の消費税率であれば、日本は無借金としています。では、なぜ、税金を上げないでいたのでしょうか。
これはずばり、「国民のご機嫌取り」であり、戦後60年続いた自民党政権を維持するには、「増税など到底できなかったから。」としています。
そして、これが「肝」なのですが、少なすぎる税収をご機嫌取りのためとは言え、なぜ放置できたか。
筆者は「ノーベル賞もの」と評していますが、次のような循環(矢印の順にお金は流れます。)で、『実質的に国民の個人金融資産を、国が自由に使うことができる』からなんですね。
【国民】 → 【銀行・郵貯・農協・年金基金・保険会社・信金】 → 【日本国家】
金融機関は、我々国民の意思を反映することなく、自由に投資先を決めることができます。つまり、私たちがどれほど嫌がっても、国債を買うことを止める手立てはありません。そして、万が一にも、日本国債が暴落したときの被害は、国民に降ってくるわけです。
怖いですね〜。でも、たしかにその通りなんです。
第5章 資産運用の基本 − 円ベースの元本保証に意味はない
また、多くの場合、銀行に預けておけば「増えることはなくとも、減ることもない」と考えがちです。
でも、通貨価値に著しい変動、特に極端に円安にぶれたときはどうでしょうか。多くを輸入に頼る我々の日常の購入価格が上がることは想像に難くありません。
1000円で3袋買えた小麦粉が、円安が進むと1袋しか変えなくなる可能性もある。つまり、元本が保証され1000円が1000円のままでも、買えるものは大きく違う。時間軸をずらすと等価ではない、目減りすることがあるというものです。
そして、円安・円高、インフレ・デフレは、【国民】 と【日本国家】は、相反する立場にあると書かれていました。
結 論
最後は、『幻の金融資産が本当に幻になる前に、円に偏らず資産形成、海外投資をお勧めします』なんですが、この本で紹介されている手法にするか、他を選ぶかは別として、資産を分散して保有することはセオリーともいえます。
当然のことながら、危ないのは日本だけではなく、海外投資でリスクを回避できるわけでなく、時間軸によっては、最悪の結果となることもあるで注意は必要です。
「日本国債は、あなたも保有している」と言われても、これまでピンとこなかった私のような初心者ですと、この本を読んで身近なものだと感じることができます。その点でオススメします。(o・ω・o)ゝ
2011/10/04
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