消費税はいつ増税されるのか?(岡田)
今でも新聞や各種メディアでは震災復興の進め方を巡って様々な議論がなされていますが、その中で多くの人々の関心を集めているのは復興に必要な財源をどのように調達するかということだと思います。
今回の震災復興では総事業費で23兆円もの支出が予定されていますが、ただでさえ国の台所事情が厳しいときにこれほど巨額の出費をしなければならないというのは、例えが悪いかも知れませんが、サラ金に多重債務を抱えた人が手元に現金が全く残っていないのにさらに借金をして新車を買おうとしているようなものです。
もちろん国の場合には債権者のほとんどが日本国民であり、サラ金と比べればはるかに安い金利で資金を調達することができます。また、いざとなれば徴税権を発動することで必要な資金を強制的に国民に拠出させることもできます。しかし安易な増税によって国民経済が収縮してしまうと結局は国の歳入が減少してしまうため、国は増税という手段に対しては慎重であるのが通常です。そこでまた借金に頼るしかないということになるのですが、国の債務残高はすでに900兆円を超えており、できることならこれ以上借金をしたくないというのもまた事実なのです。
ただ一つ確実に言えることは、借金(今回の場合で言うと復興債の発行)に頼った場合でも、その返済資金を確保するためいつかは増税という手段をとらざるをえないということです。今回の復興財源については法人税や所得税の臨時増税案など様々なアイデアが出されていますが、社会保障費も含めた国の財政全体の観点から考えるといずれ消費税の増税は避けて通れないでしょう。問題はそれがいつになるのかということです。
増税を急げば、震災後低迷している景気をさらに悪化させることにもなりかねません。かといってそれを先送りすれば、現在でも危機的水準にある国の債務残高がさらに膨れ上がることになります。私たちは今そういったジレンマに直面しているのです。
いずれにしてもまずは経済を再び成長軌道に乗せることが必要不可欠です。そのために何をすればよいのか、私たち一人一人が自分自身の問題として考えていかなければなりません。国民の資産が国の債務を支えきれなくなった時、ギリシャやアイルランドで起こったことが日本でもまた起こりうるのです。
2011/08/24
- 企業経営や時事について