MBA100の基本
本書は、グロービスという1992年に設立以来、経営に関して社会の創造と変革を行うことをビジョンに掲げる会社が出版した書籍で、MBAの全体像を捉えることができる書籍です。
元々自分自身、経営戦略に興味があり、MBAを体系的に学びたいと思っていたため選びました。
まず本書の構成は論理思考、問題解決、経営戦略、マーケティング、リーダーシップ等、11章に分かれ、合計100項目のテーマを事例も交えて紹介しています。その中で特に印象に残ったテーマを以下に述べます。
①主張に際しての根拠は3つ
何かを主張する場合、その主張には柱となる根拠が必要となりますが、そのときの数として適切なのは3つと述べています。理由は一つの根拠だけで何かを断言することは危険であり、説得力もない一方、3つを超えると今度は説明された人間が覚えきれず、第三者に説明できないという問題を指摘しています。
また元マッキンゼーのコンサルタント、バーバラ・ミント氏も論理のピラミッド構造において、同様のことを述べています。相手に簡潔かつわかりやすく伝えるために、これらを意識する必要があると感じました。
②分けることはわかること
適切な問題や課題の設定ができた場合、どこで問題が発生しているか、改善感度の高いポントはどこかを突き詰めることが必要です。それに際してはMECE(モレなくダブりなく)ということが有効的と述べています。また最初のうちはモレとダブりを全て解消することは難しいため、その場合はモレを極力減らすことが必要とも述べています。
現在の業務においてもクライアントからの相談は、ときに複雑で瞬時に解決策を探ることが難しい場合もあるため、まずはその問題を可能な限り分解し、それぞれに対して解決策を検討して組み合わせて行くことが必要であると感じました。
③大事なことは、何をするかではなく、何をしないかである
今後の成長戦略を描くため、新規事業として何をやるかを検討することは多々あるかと思いますが、それ以上に大事なのは「ここから先のことはしない」と明確に決めておくことと述べています。近年起こっている日本企業の事業再編は中途半端であり、本来やるべきでない事業を抱えすぎであるとも述べています。現在の事業の経営資源は有限であり、新規事業に取り組む場合に、既存事業に対して悪影響はないのか、そこまで手を広げることが有益かどうか足元を見ながら経営判断をする必要があるということを感じました。
全体を通して、経営の意思決定に際して、広い知見を持ってリスクがどこにあるかを明確にし、それらに対する対処法やそれを上回るメリットを適切に検討した上で、遂行する必要があると感じました。今後クライアントからの相談を受けた際、クライアントからの相談を正面から検討するだけでなく、その判断によってどのような影響があるのか意識しながら取り組みたいと思いました。
アイネックス税理士法人
井上
2020/09/02
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