中小建設業者のための「公共工事」受注の最強ガイド
中小建設業者のための「公共工事」受注の最強ガイド
著者 行政書士法人Co-Labo代表社員 小林裕門
弊社の顧問先様には建設業の方も多くおられ、公共工事を請けるために経審(経営事項審査)を受けておられます。
経審の申請は行政書士さんがされますが、それの基となる資料は決算書です。どのような決算書が経審の評価を上げるのか、
税理士の立場で顧問先様のお役に立てるように、この本を読んで学ばせていただきました。
経審の決算書の大原則は下記2つです。
・貸借対照表は、コンパクトに!
・損益計算書は、収益は上に、費用は下に!
これを意識して決算書を作るのと、意識せず税務の知識だけで作ってしまうのとでは、経審の点数にも影響がでます。
具体的に、中小企業で改善可能で影響力がある4項目について列挙致します。
- ①純支払利息比率
- ②負債回転率
- ③総資本売上総利益率
- ④自己資本比率
- ①純支払利息比率
この指標は低い方が良いので、「支払利息」の中に、「手形割引料(手形売却損)」や
「借入の保証料」などが混在している場合は、勘定科目を分けて処理し、「支払利息」をコンパクトにする。
「受取利息」や「受取配当金」が雑収入に混在している場合も、勘定科目を分けて処理する。
- ②負債回転率
この指標も低い方が良いので、負債を減らす施策が必要です。
・銀行借入で車両や機械を取得すると負債が増えてしまいますので、極力リース(賃貸借)契約で使用する。
税務上も極力「売買処理」ではなく「賃貸借処理」で処理する。
・資金余力があれば、役員借入金は、決算直前にいったん返済してもらう。
・役員借入金を返済不要の資本に組み入れる。(DES)
・工事未払金が膨れ上がらないように、決算月を繁忙期ではなく閑散期に変更する。
・工事進行基準にして、未成工事受入金をなくす。
- ③総資本売上総利益率
この指標は高い方が良いです。まさに貸借対照表はコンパクトに!損益計算書は収益は上に費用は下に!の部分に直結します。
・遊休資産となっている「ゴルフ会員権」「リゾート施設利用権」を売却。
・「保険積立金」となっている保険の見直しをする。
・安易な値引きはしない。
・営業外収益とされがちな「受取家賃」などを、定款において事業目的に不動産賃貸業を追加し、本業の売上として計上する。
(経営判断の利益率把握のために、勘定科目を分けたり、部門別会計にすることが好ましい)
- ④自己資本比率
この指標も高い方が良いです。
・増資やDESで資本金を増やす。
・節税ばかりせず、利益を出して内部留保を高める。
以上、ほんの一部の抜粋ですが、勉強になった部分をまとめました。
経審を受けておられる建設業の方は、税理士や行政書士にどうやったら点数が上がるのか是非相談してみてください。
築山
2023/08/07
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