アイネックススタッフ日誌

I-NEX STAFF DIARY

「日本の人的資本経営が危ない」の紹介

今回、私が紹介する書籍は佐々木 聡著の「日本の人的資本経営が危ない」です。

著者の佐々木 聡氏はパーソル総合研究所 シンクタンク本部 上席主任研究員 立教大学大学院 客員教授 リクルート入社後、人事考課制度、マネジメント強化、組織変革に関するコンサルテーション、HCMに関する新規事業に携わった後、ヘイ コンサルティング グループ(現コーン・フェリー)において次世代リーダー選抜、育成やメソッド開発を中心に人材開発領域ビジネスの事業責任者を経て、2013年パーソル総合研究所 執行役員 コンサルティング事業本部 本部長、2020年より現職の方です。

政府や官庁によって主導されている「人的資本経営」について、その歴史から日本の現状、企業の実態や事例まで紹介されている一冊。
ESG投資への関心が高まる中で、注目されている人的資本経営。経営戦略と人材戦略を連動させることが必要とされ、これまでの人事の考え方を転換することが求められる中で、日本企業はどのような課題を持ち、どのように対応していくべきかが概観されています。

人材戦略に求められる3つの視点
経済産業省は、「持続的な企業価値の向上に向けて、経営戦略と連動した人材戦略をどう実践するか」という点を掘り下げて、2022年に「人材版伊藤レポート2.0」を公表した。この報告書は人的資本経営という変革を、どう具体化し、実践に移していくかを主眼とし、それに有用となるアイデアを提示する。この中で最重要フレームワークである「人材戦略に求められる3つの視点」は次の通りである。

① 『経営戦略と人材戦略の連動』
「いかに経営戦略を実現するのか」を考えれば、基本は人が実践するので、必然的に「どのような人材をどのように配置するのか」「どのような人材を育成し、どのようなスキルを習得させるべきか」といった議論になるはずである。経営戦略は明確に描けている企業が比較的多いことから、まずは経営戦略と人材戦略をつなぐ人材ポートフォリオの構築に注力することから始めるべきである。

伊藤レポートでは、経営戦略と人事戦略を連動させる有効な手立てとして、CHROの設置を挙げている。調査では、人事部の最高責任者の経営関与度が高いほど、経営戦略に基づいた人事戦略の策定ができて戦略人事が進んでいる。

② 『As ls-To Beギャップの定量把握』
経営戦略実現の障害となる人材面の課題を特定した上で、課題ごとにKPIを用いて、目指すべき姿(To be)の設定と現在の姿(As is)とのギャップを定量的に把握すること。これは、人材戦略が経営戦略と連動しているかを判断し、人材戦略を不断に見直していくために重要であるとする。そのために、人材関連の改善KPIについての情報や、社員のスキル・経験などの特性を示す人事情報基盤を整備して、人材戦略の実現に関するタイムリーな意思決定を支えるというものである。

「経験・勘・記憶」という3Kから、「客観・傾向・記録」という新しい3Kによって、「なんとなく人事」から「より確かな人事」へと変貌していくことが戦略人事実現の道であり、HRデータを一元管理して活用するタレントマネジメントシステムといったインフラの強化が必要である。

③ 『企業文化への定着』
持続的な企業価値の向上につながる企業文化は、所与のものではなく、人材戦略の実行を通じて醸成されるものであり、そのために人材戦略を策定する段階から、目指す企業文化を見据えることが重要である。まず前提として重要なのが、自社の企業理念、存在意義を定義あるいは再考することである。

文化がソフト的な特性を持ち合わせている点に対して、社員の任用・昇格・報酬・表彰等の仕組みなど、ハード的な施策の検討も重要である。人的資本経営の実践には、ハードとソフトを、それぞれの時間軸で測りながら設計していくことが、ありがちな変革疲れやハレーションを発生させずに根付かせる秘訣と言える。


アイネックス税理士法人 西口

京都・大阪の税理士ならアイネックス税理士法人

2023/04/12

  • 読書発表・本紹介

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