加速する薬局制度改革
薬局に関する制度が、どんどん変わっていっているのをご存じでしょうか?
直近では、2022年4月の診療報酬改定で「リフィル処方箋」が導入されました。「リフィル」とは、「補充用の物品」、「飲食物のおかわり」の意味を持つ言葉です。「リフィル処方箋」であれば、医師の診断なしに、最大3回まで、薬を処方してもらうことができます。
「リフィル処方箋」の導入により、薬をもらうためだけに診察を受けることが減るでしょう。そうなれば、患者の利便性の向上だけでなく、医療費の削減、医療従事者の業務負担を軽くすることができます。一方で、医師の診断機会が減ることにより、薬剤師による服薬指導・服薬管理の重要性は増していくことでしょう。
さらに、政府の規制改革推進会議は、2022年9月22日に新たな改革案を協議しています。
重要性の増した、服薬指導・服薬管理などの「対人業務」に、より多くのマンパワーを充てられるよう、薬の調合や在庫管理などの「対物業務」を外部委託できるようにしようとしているのです。
この「対物業務の外部委託」ができるようになるとどうなるでしょうか?
今まで薬局内で行われていた「対物業務」を、機械化された大規模な調剤施設が引き受けることで、ミスや事故が減り、規模の経済により生産性が向上することでしょう。
さらには、コロナ禍で普及したオンライン診療・オンライン服薬指導と組み合わせることで、次のような仕組みが可能になるのではないか、と日本経済新聞に紹介されていました。
日本経済新聞 2022.9.22
自宅にいながら、スマホを通じてオンライン診療を受け、電子処方箋(2023年1月開始)を受け取り、オンライン服薬指導を受け、外部の調剤センターから配送(amazonが参入を表明)された薬を受け取る、なんて日も遠くないでしょう。
便利になるのは良いことですが、大規模事業者の参入により、小規模調剤薬局の経営が圧迫されるかもしれません。町の大事な「かかりつけ薬局」の皆様のお力になれるよう、税務顧問を担う我々に何ができるのか、考えていきたいと思います。
アイネックス税理士法人 医療事業部 赤星
2022/11/17
- 医療