【書籍紹介】会社の総資産額は少ない方がいい
本日は書籍を紹介させていただきます。
「会社の総資産額は少ない方がいい」という書籍で、筆者は銀行員から独立して経営者として事業を行っている方です。
こちらの書籍は、銀行の融資を受けやすくするという視点で書かれたものです。
その中の一つですが、タイトルの「会社の総資産額は少ない方がいい」について紹介します。
資産は多い方がよいと思われている方もいらっしゃるかと思いますが、銀行では一般的に少ない方がいいと考えられているということです。
※ちなみに「総資産」は貸借対照表の資産の部の合計金額を表します。
それは、主に以下の理由によるものです。
■理由
・総資産が少ない方が「総資産利益率(総資産に占める利益の割合)」が高くなるため、収益性が高いとみられる。
→会社は自社の資産を活用して収益を生み出しますが、同じ利益でも少ない資産で生み出している方が資産を
効率的に活用していると見られるということです。
・資産が陳腐化・不良化するリスクが減少する。
→資産に計上されていても実際は資産価値がないもの(売れる見込みのない在庫、回収不可能な売掛金、
売買価格が帳簿価額より著しく低い土地など)の発生リスクが少ないということです。
銀行では、融資をする際に企業の決算書を見ますが、単に帳簿価額をそのまま見るのではなく、本当に資産性があるのか、
計上すべき負債が漏れていないかなどを考慮して「実態バランスシート」を作成します。
ですので、帳簿上の資産が多くても、中身が伴わないものは資産として計上されていないというケースもあります。
また、銀行目線ではなく税務上の節税という観点で言いましても、そのような資産性がなくなっているような資産は
損失に落とすことで、利益を圧縮し税額を抑えられます。
節税では、一般的にキャッシュが出てしまうケースが多いですが、このようにキャッシュアウトを伴わないで税金を
抑えることができるものを有効活用することで、財務の健全性を確保し、税負担を下げるということも可能です。
※税務上、資産を損失に落とすには一定の要件がありますので、その点は注意が必要です。
当然、企業には取引先との取引や許認可の関係などから一定の資本が必要になることもあるかと思います。
また、経営者の将来像や事業承継等もふまえて総資産を大きくしたいというニーズもあると思いますので一概には
言えませんが、銀行の目線を考えるということは事業を行っていくうえでは重要な視点です。
銀行の評価が高い財務諸表というのは、そのまま健全な財務状況の会社ということになろうかと思いますので、
節税とのバランスも考えながら経営者の皆様とお話をしていきたいなと思います。
嶋村
2022/06/20
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