組織になじませる力
今回、私が紹介する書籍は尾形 真実哉著の「組織になじませる力」です。
著者の尾形 真実哉氏は明治大学卒業後、甲南大学経営学部経営学科で専任講師、准教授、教授をされており専門分野は、組織行動論、経営組織論。主としてリーダーシップ、モチベーション、キャリア、人材育成など、組織で働く個人に焦点を当てて研究活動を進めている。 「クリティカル・インシデント・メソッドによる若年看護師の組織適応分析―キャリア初期の経験学習に焦点を当てて」(『人材育成研究』第6 巻第1 号、 2011 年)においては、人材育成学会論文賞を受賞されている方です。
『組織になじませる力』とは
会社が「組織になじませる力」を有していなければ、人が出ていくだけである。入ってきても定着しないので、また出ていかれるだけの人材流出企業になってしまう。
組織になじませる力とは「オンボーディング」と表現される。新卒採用者や中途採用者など、会社という乗り物に新しく加わった個人を同じ乗組員としてなじませ、一人前にしていくプロセスを指す。オンボーディングは「新入社員の適応を促進する組織やエージェントによって従事される、公式、非公式な訓練、プログラム、政策」と定義される。
オンボーディングには、次の3つの機能がある。
①情報を与えるインフォーム行動
新入社員に情報や道具を提供すること。この行動は次の3つに分けられる。
1.コミュニケーション:人事部員や同僚、上司との双方向コミュニケーションなど
2.リソースの提供:会社の部門についての詳細な説明をしているウェブサイトなどの情報
3.トレーニング:スキルや知識の習得を促進するための計画
②迎え入れるウェルカム行動
新入社員を歓迎したり、新入社員と同僚が顔合わせできる機会を提供するなどのプログラムや制度。
③導くガイド行動
新入社員のトランジションをサポートする個人的な指南役(メンター等)を提供すること。
調査では、オンボーディングに力を入れている企業の方が、企業規模に関係なく、中途採用者の定着率とパフォーマンスの双方においてスコアが高いことが示されている。
人手不足により、採用が困難になっている現代において、採用後に人材を定着することも重要な課題であり、採用した後にいかに組織に適応させて、人材を定着させれば良いのか。
採用後に人が離職する原因を解説しながら、新卒採用、中途採用のそれぞれで、人材を組織になじませる施策(オンボーディング施策)なども紹介していますので、是非、皆様方にも読んで頂けたらと思います。
アイネックス税理士法人 西口
2022/04/08
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