跡継ぎがなくても会社は残せる
今回、私が紹介する書籍は吉川 正明著の「跡継ぎがなくても会社は残せる」です。
著者の吉川 正明氏は流通経済大学卒業後、今のイワサキ経営の前身である岩﨑一雄税理士事務所に就職。入社5年目には個人売上で全社1位を達成。入社10年目に突如として後継者指名を受け、専務に就任。2013年代表取締役に就任。 社員満足度日本一のワンストップコンサルティンググループというビジョンを掲げ、サービスの質の向上を追求し続けているおられる弊社と同業種の代表取締役の方です。
『事業承継が社会問題に』
日本では年々、経営者の高齢化が進んでいる。2020年の全国の社長の平均年齢は60.1歳。元気な高齢者が増えたが、経営者はいつか必ず引退を迎える。その時になって、慌てて後継者を見つけようとしても、時すでに遅しになりかねない。
後継者が不在の経営者は60代で約半数、70代で約4割、80代で約3割に上る。中小企業の後継者不足が今、深刻な状況である。廃業や解散を選ぶ企業の約6割は黒字である。将来性があるにもかかわらず、後継者がいないがために廃業を選ばざるを得ないケースもある。
中小企業を次世代につなげていく事業承継の方法は、大きく分けて次の3つがある。
①親族内承継
親族内での承継は最も馴染みがあり、関係者の理解を得られやすい。自社株や財産を、相続や贈与によって先代から後継者へ移転できるため、所有と経営を一体的に渡しやすいというメリットもある。ただ、経営者に子供がいなかったり、親族に経営能力のある人材がいない場合などは、別の方法を探す必要がある。
②従業員承継
役員を含めた従業員への承継。経営者が選んだ社内の人間が後を継ぐと、先代の考えや企業文化などが受け継がれやすいメリットがある。
オーナーが自社株の大半を所有するオーナー企業の場合、所有(株主)と経営が分離していない。オーナー社長から所有も経営も全て承継される場合、後継者は自社株を買い取るのが基本。一方、「雇われ社長」のパターンも考えられる。オーナーが自社株を持ったまま、従業員が経営権だけを承継して雇われ社長になるというものである。
従業員承継の場合も、親族内承継同様に適任がいるかどうか、また、先代が適任者を育てられるかが問われる。
③M&A
親族内にも従業員・役員にも後継者がいない場合、外部に会社を売却する選択肢がある。とりわけ安定した顧客を抱えていて、収益も上がっている会社なら、買い手がつく可能性が高い。M&Aにはいくつかのメリットがある。
・親族や従業員といった狭い範囲に留まらず、広く意欲や能力のある後継者を選べること
・親族内や社内での人間関係の争いごとが起こりにくいこと
・経営者は事業売却によって負債を完済できる可能性があること
親族承継の割合は、年々減っており、2019年には34.9%にまで落ち込んでいる。これに対して、近年増えているのが従業員承継やM&Aといった親族外への承継である。この内、従業員の内部昇格による承継は、2019年には33.4%に達した。
たとえ親族内に後継者がいなくても、従業員承継によって事業を継続させることができるのである。
事業承継がスムーズにいく場合もそうでない場合もあるが、後継者の多くが悩んでいるのは「人」、特に社内の人間関係である。その中でも、最大の課題は先代と後継者の関係である。後継者に承継したものの、先代が口を出して、挙げ句の果てには後継者を追い出して復権する、というケースも珍しくありません。
事業承継は継ぐ側の努力も不可欠だが、継がせる側の先代の姿勢も成否を左右する。任せることが、事業承継成功の鍵である。後継者に任せられないなら、事業承継などせずに自分で経営を続ければいい。後継者に事業を承継すると決めた以上は「任せる覚悟」が必要です。
第三者として継続してサポートできる外部機関は、銀行やコンサル会社ではなく弊社の様な税理士事務所で有りこれまでのお客様の会社経営の強み・弱みも把握している外部機関は他を探しても見当たりません。
事業承継をサポートするのも我々の使命だと思いお客様に役立てるサポートをさせて頂ければと思っています。
アイネックス 税理士法人
西口
2021/10/07
- 読書発表・本紹介