お弔いの現場人~葬儀と周辺を見にいく~
今回ご紹介する本は、「お弔いの現場人~葬儀と周辺を見にいく~」という本です。
この本は、故人の弔いに関連する方へのインタビューを通して、「弔い」とは何か、読者に考えさせるきっかけをくれる本です。
何よりも、目次を見ただけで、「あっ読んでみたい」と思わせる見出しになっており、気になったインタビュー記事だけを読んでも面白いとも思うし、知らなかった葬式などの儀式に関する基礎的な知識も仕入れることができます。
目次の一例を上げると
・母のベッドで仏壇をつくったひと
・霊柩車をつくる工場
・ドライブスルーの葬儀会館
・お寺をもたないインディーズ僧侶
・ゆうパックで「遺骨」を引き取るお寺
・「おひとりさま」の遺骨の行方 などなど、読んでみたいと思いませんか?
インタビューを受ける方は、一部を除いて、弔いに関連する仕事をされている方(霊柩車を作る方、葬儀社、リユースや遺品整理をする方、お坊さん(事業者というか修行者))で、どの記事を読んでも、こんなサービスやビジネスがあるのかといった発見とそれを始めようとした動機や想い、何よりも残されたご家族の気持ちに寄り添った仕事への熱い想いがひしひしと感じ取れる内容になっています。
特に、お二人のお坊さんへのインタビューが個人的に興味を感じました。仏壇を作る意味や、位牌や戒名はお釈迦様の本来の教えにない日本独自のものであることや、「檀家」制度のことなど「へぇ~」と思う知識が織り交ぜられ、信仰って堅苦しいものではなく、もっと自由であっていいのではないかと考えさせられました。
また、身内のない人に相続が起きた場合の遺骨や葬式代ってどうするのだろうといった個人的に前から漠然と思っていた疑問にも触れておられ、少子高齢化社会で今後増えてくるであろう「おひとりさま相続」「孤独死」、それに対する「弔い」のあり方について考えさせられました。
私も、ここ4年で、母方の祖母、父親といった大切な身内を亡くし、深い悲しみに陥り、ちゃんと送り出すことができたのであろうかと不安に思うこともあったが、この本を読んで、「弔い」とは、故人のためというよりも、残された人が故人の死を受け入れ、気持ちを明日に向けさせるためのものだと個人的に理解し、少し気持ちが楽になった気がしました。
T.N.
2020/11/20
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