広大地評価の見直し(私見)
平成30年1月より相続税・贈与税における土地評価において、標準より広い宅地について評価の見直しが行われ、現行の「広大地の評価」に代わり「地積規模の大きな宅地の評価」になります。
一般的に広い宅地を売る場合、戸建分譲等を行う開発業者に売ることが考えられ、その際、道路開設によるつぶれ地部分が土地の価格を下げるといった趣旨から、広い土地は「広大地の評価」により最大65%まで減額されていました。
さて、評価する土地がこの「広大地」に当てはまるか要件は以下の通りです。
- (1)大規模工場用地でないこと
- (2)マンション適地でないこと(原則容積率300%以上はマンション適地)
- (3)その地域の標準的な宅地の面積に比して著しく面積が広大
- (4)開発する場合つぶれ地(開発道路等)が生じること
この要件をみて(1)は何となくあてはまるか否かはすぐにわかるにしても、
(2)マンション適地って?
(3)その地域ってどこでくくるの?標準・著しくって何が基準?
(4)潰れ地ができるのは何となくわかるけど…どう説明する?
と「???」の連続ではないですか?
私たち税理士業務を行う者であっても「う~ん」となり、そこは腕の見せ所とねじり鉢巻きでそれなりの事前準備をおこない、税務署に事前照会に出向いたものです。
申告後、税務調査で広大地評価につき否認され「すみません、広大地評価認められず〇〇千万円税金増えました」なんてお客様に言えませんよね。
開発想定図作成に始まり全要件を満たすことにつき税務署側に証明するのは大変な作業であり、また実際、納税者と課税庁側と対立が多かった部分なのです。
しかし今回の見直しにより「地積規模の大きな宅地の評価」では一定要件(地積要件【京都・大阪など三大都市圏では500㎡以上】・地区要件・容積率要件等)を満たせば、広大地の4要件のように不明瞭な要件を満たすか否かを検討することなく適用できるようになります。
ただこれで私たちは「楽になった~」ではなく基準が明確になったがゆえに適用失念など許されなくなったといえましょう。
と難しく書きましたが…この記事を読まれて、自分の財産の評価や相続について「どうなるんだろう」と思われた場合には…私たちにご相談ください。
相続事業部スタッフ一同お待ちしております。
アイネックス税理士法人
小島
2017/12/08
- 税務・会計について