〈実質一人会社オーナー社長給与の損金不算入〉〜part4〜
今回のシリーズ〜part1〜でご紹介したように、
『1.特殊支配同族会社であり』、かつ、『2.基準所得金額が一定額を超える』、1.と2.に該当すると、業務主宰役員の給与所得控除額が損金不算入となります。
そこで、この損金不算入を回避する方策が種々取り沙汰されていますが・・・・・
★1.に該当する場合、持株等割合と常務従事役員割合については、簡単に変更ができない!
★2.についても、過去3年の所得金額や業務主宰役員給与額を用いるために直接操作することができない!
というのが現状です。
業務主宰役員給与を減額し他の親族に付替えは否認の可能性大!
損金不算入となってしまう企業は、損金不算入の対象給与である業務主宰役員給与を減額し、減少分相当額を損金不算入の対象とならない他の親族の給与を増額させようとしているところもあるといわれています。
しかし、業務主宰役員とその親族の給与は操作をしやすいことから、よほどの合理性がない限り、損金不算入の規定から回避するための行為とみなされ、否認される可能性が非常に高い模様ですので注意が必要です。
業務主宰役員給与を配当に切り替えることについては通常問題なし!
会社法では四半期配当もできることから、損金不算入額を極力抑えながらも、支給額を減らさないようにするために、業務主宰役員給与を配当に切り替えようとする企業も見受けられます。
このような給与の一部または全部を配当に切り替えることについては、通常は問題ないといえるようです。
ただ、配当する際には、通常、
※配当を行う度に株主総会で決議しなければならず、
※配当額を決めるために、一定の時点おける剰余金の額と、分配可能額の算定が必要となる、
といった実務上の手続が発生します。
個人所得の段階でも非上場株式について、配当の額に関わらず確定申告を行なわなければなりませんので、このような手続が必要になるということを念頭に置いて配当の決定をする必要があるでしょう。
また、配当に切替えることで損金不算入規定の適用除外になったとしても、法人に対する税額は、給与所得控除額をそのまま損金不算入とする場合よりも増大し、さらに業務主宰役員の個人収入も減少してしまうという結果になるケースもあるので注意が必要です。
2006/10/10
- 法人税