18年度税制改正固まる (1)
12月15日、政府与党は『平成18年度税制改正大綱』を発表しました。
例年どおりであれば、この税制改正大綱の内容が閣議決定されて国会を通過することになります。
税務情報ヘッドラインでは、2回に分けてこの改正を概観していきます。
今回は中小企業に関するものを扱います。
1.同族会社の留保金課税制度の課税対象の限定
同族会社の留保金課税制度の対象法人が変更されました。
[現行] 同族関係者3グループで株式等50%超保有
[改正後] 同族関係者1グループで株式等50%超保有
また、課税対象となる法人についても、内部留保に対する控除額が引き上げられました。
[現行] 所得基準:所得等×35% 定額基準:1,500万円
[改正後] 所得基準:所得等×50% 定額基準:2,000万円
この改正により、課税対象の限定、留保控除の大幅引き上げとなり、中小企業にとって不可欠な内部留保の充実が可能となります。
2.役員給与
(1) 役員賞与の損金算入
改正前は1月以内の期間を単位とした定期的同一額(役員報酬)のみ損金算入が認められていましたが、改正により、あらかじめの定めにもとづいて支給される確定時期の確定額(年二回のボーナスなど、役員賞与)も損金算入が認められるようになりました。
(2) 同族会社の役員給与の損金不算入
同族関係者が90%以上の株式を所有し、かつ、常勤役員の過半数を占める同族会社では、その代表取締役に対する役員報酬の給与所得控除相当額が損金不算入になりました。
(注) 但し、法人所得と役員報酬の合計が800万円以下の場合等にはこの額は損金になります。
改正前に比べて、(1)は損金算入額分だけ課税所得が減少し、(2)は損金不算入額分だけ課税所得が増大することになります。
3.交際費
(1) 損金算入の特例の延長
中小企業に限って認められている損金算入特例が2年間延長されました。
(2) 課税上の範囲の縮小・明確化
[現行] 1人あたり3,000円以下→会議費、3,000円超→交際費
[改正後] 1人当たり5,000円以下の飲食費 →損金算入、 5,000円超→交際費
4.その他中小企業関係税制の延長
「中小企業投資促進税制」は、ソフトウェア、デジタル複合機が対象に追加され、2年間延長されました。
また、「中小企業者等の少額減価償却資産特例」「創業5年以内の中小企業者に対する欠損金の繰り戻し還付措置」も2年間延長されました。
2005/12/28
- 税制改正速報