『LLP制度の概要』
有限責任事業組合(LLP)制度が平成17年8月1日から施行されています。
LLPとその特徴
LLPとは、株式会社や有限会社などと並ぶ、「有限責任事業組合」という新たな事業体です。LLPは、以下の3つの特徴を有しています。
●有限責任制
出資者(LLPの場合、組合員)が出資額の範囲までしか事業上の責任を負わないこととする制度です。株式会社においても、有限責任制が定められています。
●内部自治原則
株式会社では、損益や権限の分配は出資額に比例していますが、LLP制度では、利益や権限の配分が出資金額の比率に拘束されません。
また、株式会社とは異なり、取締役会や監査役のように経営者に対する監視機関の設置が強制されません。
●構成員課税
株式会社では、利益が出たときは法人に課税されますが、LLPには課税されず、出資者に直接課税されます。このため、LLPに法人課税が課された上に、出資者への利益分配にも課税されるということがありません。
ただし、組合の事業を通じて取得した財産を、組合員の含有財産である組合財産として留保することは、可能です。
LLPの適用除外
今回の施行令では、性質上組合員の責任の限度を出資の価額とする有限責任制が適当でない業務として、公認会計士、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、海事代理士、税理士、社会保険労務士、弁理士の9業務が定められています。
これらの士業が集まってLLPを設立することは認められておりませんので、全員無限責任の合名会社型の法人(弁護士法人、監査法人等)か、民法組合(弁護士事務所等)を用いるか、若しくは個人事業主として事業を営むこととされています。
さらに、組合の債権者に不当な損害を与える恐れのある業務として、宝くじの購入や競輪の車券の購入など6業務が定められています。
LLP制度に関する税務・会計のポイント
●税務申告
LLPの事業に係る税務申告は、各組合員が事業年度ごとに行う必要があります。
組合の会計帳簿を作成した組合員は、組合の計算期間の終了する日が属する年の翌年1月末までに、各組合員の所得に関する計算書を税務署に提出しなければなりません。
●財務諸表の作成
LLPには、設立時の貸借対照表を作成し、事業年度ごとに貸借対照表、損益計算書及びその附属明細書の作成が義務付けられています。
これらの財務諸表については、組合の主たる事務所に備え置き、債権者からの求めに応じて開示することが定められています。しかし、 財務諸表について公告の義務はありません。
2005/09/05
- 特殊法人